Concetti Chiave
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で観測された、コンパクトで赤い天体「小さな赤い点(LRD)」の一つであるA2744-QSO1のスペクトル分析により、その正体は、AGN活動と星形成の両方の寄与を示唆する複雑なものであることが明らかになったが、既存のモデルではそのスペクトルを完全に説明することができず、LRDの謎は深まるばかりである。
Sintesi
JWSTによるA2744-QSO1の分光観測とモデル化の課題
この論文は、初期宇宙に多数発見されたコンパクトで赤い天体「小さな赤い点(LRD)」の一つであるA2744-QSO1の分光観測データと、そのモデル化における課題を報告する研究論文である。
JWSTの登場により、高赤方偏移(z ≈ 5-8)においてLRDと呼ばれるコンパクトで赤い天体が多数発見された。
LRDは、微かな青い紫外線連続体と、可視光波長に向かって急激に赤くなるV字型のSEDを持つ。
そのコンパクトなサイズとブロードな輝線から、LRDはAGNの活動を含む天体であると考えられている。
しかし、LRDのSEDを完全に説明できるモデルは存在せず、その正体は謎のままである。
A2744-QSO1は、UNCOVERサーベイで発見された三重像を持つLRDであり、赤方偏移はz = 7.04である。
NIRSpec/PRISMによる分光観測により、強いバルマー輝線と、静止系で約3600Åに顕著なブレークを持つスペクトルが得られた。