本研究では、心理検査における反応の動態を分析するためにマルコフ連鎖モデルを提案している。
反応の順序効果に関する先行研究を概観し、過去の経験や決定が将来の選択肢を制限する経路依存性、直前の反応が後の反応に影響を及ぼすヒステリシス効果、前の反応が後の反応に依存する状態依存性といった概念を紹介している。
心理検査における反応の動態を捉えるためにマルコフ連鎖モデルを活用することを提案している。マルコフ連鎖では、現在の状態のみが次の状態への遷移確率を決定するという性質を持つ。検査項目への反応をマルコフ連鎖の状態とみなし、遷移確率行列を推定することで、反応の動態を分析できる。
遷移確率行列の対角成分は同一状態への留まりやすさ(慣性)を表し、定常分布は長期的な反応パターンを示す。これらの指標を用いて、注意欠陥多動性障害(ADHD)と強迫性障害(OCD)の可能性のある学生群の反応動態の違いを検討している。
さらに、ADHD群とOCD群のマルコフ連鎖モデルを構築し、ある被験者の反応系列がどちらのモデルに適合的かを判定することで、その被験者の所属群を推定する方法を提案している。
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by Andrea Bosco at arxiv.org 03-28-2024
https://arxiv.org/pdf/2403.17982.pdfDeeper Inquiries